採用と人材育成の専門家上薗です
ある島があります。そこは、怪物が住んでいるという噂です。
でも、そこに怪物退治にいった侍は、皆「あそこにいけば絶対に強くなれる」というのです。
この島、皆さん行きますか?
行く、という方も多いのではないでしょうか。修行であれば、困難に立ち向かう機会が多いのは当然ですよね。
では、こんな情報が追加されたらいかがでしょうか。
ある島に行って、帰ってこれた侍は100名に1名。
後の99名は、島から出てこれていない。
どうですか?行きます?
私は行かないですよ。99%の確率で死んでしまっています。
強くなれるのは1%の、一握りの人達だけ。しかも「強くなれる=有益だ」という情報はその1%の人からのみ、もたらされています。
これを、生存者バイアス、と言います。
さて、今回のコロナウイルス騒ぎで、大きく変わってくる可能性があるものがあります。
それは、「学び方」です。
病院や福祉施設等で行われる医療専門職の実習は、中止になるところが多く、
現在その対応策が必死に練られています。
現在、実習がなくなったこと、そして、授業が行えないことで一躍有名になったZoomなどのテレビ会議システムは、授業だけでなく、会議、研修会等様々なところで使われ、その利点も、欠点も浮かび上がってきています。
家にいながら学習ができるようになったことは、移動の負担や不安を軽減し、交通費や時間の有効活用なんかもできるようになったといえるでしょう。
地域差も一定程度あると思われますが、それこそ、学ぶ機会の格差が出てきてしまっている状態かもしれません。
インターネットを使う、ということ以外に、どんな変化が起こるでしょうか。
医療専門職の実習は、非常に厳しい職種があるというのは、皆さんご存じかと思います。
特にリハビリテーション職種の実習は期間も長く、基本的には同じ施設に同じ学校の生徒が1-2名の配置ですので、実習生は非常に緊張状態を強いられます。
従来型の実習というのですが、夜も寝ずに課題を仕上げたりすることなどは普通に行われており、現職者は自分たちがそれを乗り越えてきたため「これを超えてこそ専門職になれる」という認知をしています(していました)。
厳しい実習を超えてなんぼ、超えればよい専門職になれる、というのです。
「生存者バイアス」、ですよね。
もちろん、よい実習を受け、社会に出ることは絶対に必要ですし、学生のうちに現場を見ておけるというのは大きなメリットになります。
必要なのは、良い学習経験であって、それが場合によって、厳しい経験になることもあるというが本来で、厳しい経験をすることが必要なんではないんですよね。
この「生存者バイアス」厄介なんです。
概ね、現職者は「生存者」であるため、そのバイアスが取り除かれるのは難しいのです。
今回のコロナウイルスの経験を基に、学習機会がどのような変貌を遂げるのか、
見守っていければと思います。https://onlinecare.jp/author/wcih320nq1jyyogjm6lu/
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