相手の行動をコントロールできたらいいのに
そう思ったことは、誰しもあるのではないかと思います。
一方、「相手を変えることはできないけど、自分が変わることはできる」というのは、よく言われることですよね。
これは、ある一面において、正解であり、ある一面では不正解であると思います。
人の行動をコントロールすることは可能だからです。相手を自分の思うように変えることは、実際は可能なのです。
皆さんは応用行動分析学という学問はご存じですか?スキナーという学者等が様々な研究を行い、体系化した学問で、現在は療育で使われていることが多いかもしれませんが、ここのところ、リハビリテーション領域でも意図して使われることが多くみられるようになってきました。
これは、先行刺激、目標行動、後続刺激、の3つに人間の行動や刺激、環境等を整理して主には目標行動を増やす/減らすことを意図して分析されるものです。
目標行動は、例えば歩く、とか、ルールを守る、とかそういった人間が行う行動で数を増やしたい、あるいは減らしたいと思っている行動のことを言います。先行刺激は、その目標行動が行われる時に事前にある環境を指します。たとえば、舗装された道路、坂道、あるいは、職場、上司、等です。後続刺激は、その目標行動の数や頻度を決める刺激のことで、褒める、とか、転ぶとか、そういった刺激が当てはまります。後続刺激は、目標行動を増やす刺激と減らす刺激があります。
この分析は、人間の行動のほとんどを説明できるため、相手の行動について分析をする場合や、あるいはその分析から、行動を増やしたり減らしたりする場合に汎用性高く用いることが可能です。
例えば、提出物をしっかり出せない部下に、「しっかり出しなさい」というだけで行動が改善されない場合、なぜ出せないのか?出す行動を増やす場合にはどうしたらよいのか?というように刺激を整備していくのです。締め切りがわかっていないのかもしれない(先行刺激)、PCがうまく使えないのかもしれない(先行刺激)、提出された時に褒めた方がいいかもしれない(後続刺激)等です。
ここまで来て、察しのよい方はお分かりかと思います。
人の行動は変えることができます。ただ、人の行動を変えるために、自分も冷静に自分の行動や相手にとっての環境・刺激である自分を客観的に見つめる必要性があるのです。
そういった意味で、「相手を変えることはできないけど、自分が変わることはできる」ことは、ある意味正しく、一方で、自分が変わることで相手も変わる可能性があるということで、正しくないということになります。
自分の行動を見つめることは、時に困難や苦しみも伴います。ただ、そうすることで、相手が変わり、自分が生きやすくなることもまた、実際に起こりうることです。
自分の行動を見直して、今ある苦しさを改善してみませんか?
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